ただいま、「保育・介護マーケットの攻略」をテーマにお伝え
しています。
昨日は、介護事業所の「処遇改善加算」について簡単にご説明を
させていただきました。
ポイントは、「キャリアパス要件」と「職場環境等要件」でした。
特に、「キャリアパス要件」については、等級制度、評価制度、
賃金制度、教育制度などを整備しなければなりません。
これは、ある意味で「処遇改善加算」を受けるためには人事制度を
導入しなければならない、ということになります。
しかし、介護事業所が独自に人事制度を設計したり導入することは
難しく、どうしても私たちのような専門家の支援が必要になります。
ですから、国は助成金を支給することで、介護事業所がコストを
かけずに人事制度が導入できるようにしているのです。
この状況は、保育事業所も同じです。
しかし、保育事業所に対する「処遇改善加算」の仕組みは、介護
事業所のそれとは少し異なります。
保育事業所の「処遇改善加算」には2段階あり、各処遇改善加算の
対象者内容が次のとおり規定されています。
★処遇改善加算1
職員への賃金改善やキャリアリアアップの取り組みに応じて
人件費を加算。
職務、雇用形態、役職を問わず全職員が対象。
但し、専従加算員は対象外。
加算見込額は、平均利用児童数、定員別単価表額により算出。
★処遇改善加算2
技能・経験を積んだ職員対する追加的な人件費を加算
こちらの加算は、下記(1)と(2)がセットとなります。
定められた人数の対象職員を任命し、当該職員について
賃金加算を行います。
(1)副主任保育士・専門リーダー等(概ね7年以上経験を有するもの)
を任命
加算見込額:4万円 (法定福利厚生費込48,740円)
施設長、副施設長等の管理部門、主任、専従加算員は対象外。
但し、副施設長、主任については給与バランスの問題がある
場合は配分調整可。
(2)職務分野別リーダー(概ね3年以上経験を有するもの)を任命
加算見込額:5千円 (法定福利厚生費込6,090円)
施設長、副施設長等の管理部門、専従加算員は対象外。
加算対象は保育士に限るものではなく、看護師、調理員、栄養士、
事務員等も含む。また、2022年度より研修終了が必須要件の予定。
各経験年数:概ねの目安であり、施設の柔軟・適切な判断に委ねる
各加算対象人数:利用定員数による算定数式にて算出
定員数20名前後の場合は、(1)が2名、(2)が1名
の算出になることが一般的。
なお、通常の処遇改善加算は1と2を一緒に実施しますが、2を実施
せずに1のみを行うことも可能です。
ただし、1のみを実施する場合は「キャリアパス要件」を満たす必要が
あります。
キャリアパス要件とは次のとおりです。
(1)職員の職務等に応じた勤務条件と賃金体系が明確に就業規則等で
定められており、全職員に周知されていること
(2)職員のキャリア向上計画を定めて実施し能力評価を行うこと、
また、企業がその支援を実施すること
このように、保育事業所における「処遇改善加算」の仕組みはとても
複雑です。
それぞれ加算要件、基準額、支払方法等の規定があり、加算支給額は
実際の実績(利用定員数や開所日数等)により変動します。
また、2については、実施する際に「誰にいくら毎月払うのか」について
明確に定める必要があるため、実績が少なく加算金支給が少ない場合は
企業がその分を負担することになります。
「処遇改善加算」の申請をするためには、各職員に適したキャリアアップ
プランを立て、どのような加算事業を行うかを計画的に検討しなければ
なりません。
また、実施にあたっては新たな給与規定の策定や職務辞令も必要になります。
保育事業所の「処遇改善加算」の仕組みについて詳しい内容を知りたい
という方は、11月に開催するセミナーにお越し下さい。