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人事評価改善等助成金の安易な提案はトラブルのもと

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私のまわりでは、何かと話題になっている新しい助成金。

【人事評価改善等助成金】

この助成金の提案方法をめぐって、非常に気になることがあります。

それは、相変わらず「助成金ありき」で提案をしようとする人が
多いということです。

これまでにも、小手先のテクニックで助成金の受給をして成功報酬
ビジネスをする人はたくさんいました。

たとえば、旧キャリア形成促進助成金・制度導入コースの

「職業能力評価制度」。

この助成金を、形式だけの面談を行って受給するようなケースです。

個人的にはあまりお勧めをしませんが、形式上とはいえ評価シートを
使ってきちんと面談を実施しているのであれば、問題があるとまでは
言えないでしょう。

ここまでだったらギリギリOKです。

しかし、今回の「人事評価改善等助成金」ではこのような小手先の
テクニックは通用しません。

なぜなら、この助成金は

2%の賃上げを目指して賃金制度や評価制度を導入することを
社員と合意し

その合意に基づいて作成した賃金テーブル(昇給表)を
就業規則に掲載しなければならない

からです。

就業規則に記載をして労働基準監督署に届出をするということは、
その内容が労働条件の一部になるということです。

助成金を受給し終えたら就業規則を変更すれば(元に戻せば)良い
と思っているのかもしれませんが、それは労働条件の不利益変更に
なります。

社員の同意があれば別ですが、就業規則の不利益変更は原則として
認められないことは、社労士であれば当然知っているはずです。

企業にとってこのようなデメリット(法的リスク)があることを
十分に説明せずに、助成金の提案だけをするのはいかがなもので
しょうか?

ここに大きな問題があると、私は感じております。

これでは、社労士が自ら「労働トラブルの種」を撒いているような
ものです。

私が経営者だったら、たった50万円の助成金を受給するために、
このようなリスクを負うことは絶対にしませんからね。

私たち社労士の仕事は、こうした”制度”を導入する場合の
メリット・デメリットをきちんと説明するこであり、自分が報酬
もらうために安易に助成金の提案をすることではないはずです。

助成金申請のわずかな手数料をもらうために、安易な提案をして
しまったら、それだけで専門家としての信頼が失墜してしまいます。

ここが、これまでの助成金と今年度からの”制度導入型の助成金”
との大きな違いなのです。

そもそも人事評価改善等助成金というのは、表向きは成果主義や
能力主義の賃金制度、評価制度を導入する事業主に助成金が支給
されることになってはいますが、

「まずは2%の賃上ありき」

というのが制度の「本当の目的」になっています。

このことを理解しておく必要があります。

言ってみれば、キャリアアップ助成金(賃金規定等改定コース)の
正社員版です。

キャリアアップ助成金であれば、2%の賃上げをしても1年間分の
賃上げ分を助成金が肩代わりをしてくれます。

たとえば、時給1000円の人を1020円にすると年間約3万円の負担増
になります。(年間労働時間を1500時間とすると)

一方、キャリアアップ助成金では1人あたり約3万円の助成金が支給
されます。

これはつまり、賃上げ分の1年間分を助成金が負担してくれるのと
同じことです。

しかも、キャリアアップ助成金は100人まで対象となります。
(総額で約300万円)

しかし、正社員の賃金アップは企業にとって負担が大きいです。

年収300万円の社員の2%賃上げは6万円の負担増です。
社員が10名いたら、それだけで60万円の負担増になります。

それなのに、人事評価改善等助成金(制度導入)の支給額は
定額で1回限りの50万円。

さらに、今後も毎年2%の賃上げをすることを就業規則(賃金規定)
に記載をして、社員と約束をしてしまっています。

当然、私たちも賃金制度の導入や助成金の申請で報酬をいただく
わけですよね?

こんな提案であることを事業主が知ったら、

社労士に騙された」

と言われて仕方がありません。

誤解をしていただきたくないのですが、私はこの助成金の提案を
するのをやめましょう、と言っているのではありません。

この助成金を提案するのであれば、

人事制度や定期昇給の制度を導入して、社員のスキルアップ・
モチベーションアップを図り会社の業績向上をさせたい

業績がアップしたら賃金アップで社員に報いたい

そういう会社をターゲットにするべきだと言いたいのです。

人事評価改善等助成金を提案するにあたっては、2%の賃上げが
できる会社かどうかを見極めて、企業のリスクも説明した上で、
慎重に行わなければならないと思っています。

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<本日のワンポイント動画>

社労士が「働き方改革」をビジネスチャンスに変える方法
https://youtu.be/6iFppJkzt3o

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